2026年度 一般社団法人科野青年会議所

理事長所信

第57代理事長 林 慶太郎

 

【はじめに】
「未来を拓く『今』を創る」
2020 年、私が初めて立候補した千曲市議会議員選挙において掲げたこのスローガンは、台風 19 号による豪雨災害や新型コロナウイルス感染症の影響により、非常に厳しい状況が続く中で生まれたものです。当時 26 歳という若輩者ではありましたが、苦しい「今」だからこそ、生まれ育った地域の明るい未来を切り拓くために働きたいという強い思いを込めました。
同年の科野青年会議所のスローガン「与えられたものは『今』しかない。その連続が『未来』を創る!」には、奇しくも私の思いと重なる部分が多く、深い共感を覚えました。そして何よりも、私に声をかけてくださった皆様が JAYCEE として地域の明るい未来のために活動される姿に、まさに私自身が掲げた理想の姿を重ねられたことが、入会を決意するに至った私のはじまりでした。

【不易を知らざれば基立ちがたく、流行を知らざれば風新たならず】
「不易流行」
姨捨山の名月を見る旅「更科紀行」を記した俳人である松尾芭蕉が提唱したこの理念は、変わらない根本(不易)を知らなければ物事の基礎が確立せず、変化し続けるもの(流行)を知らなければ新たな発展や創造は生まれない、というものです。相反するよう思えるこの不易と流行の概念が、実はひとつにつながっており、両者が調和してこそ真の価値が生まれるという思想です。
不易を知るとは、伝統を知ると置き換えられます。「おもしろい」という情熱を元に、更埴青年会議所として設立されたことがはじまりであった科野青年会議所は、本年で 57 年目を迎えます。諸先輩方が長きにわたる年月で積み上げてこられた伝統は誠に尊いものであり、この伝統があってこそ今の我々があることを忘れてはなりません。しかしながら、その伝統の元である歴史を、我々現役メンバーはどこまで知りえているのでしょうか。大きな変化をもたらしたコロナ禍以降に入会したメンバーが、私を含めて多数を占める現状においては、その歴史に触れる機会や、創始からの情熱を感じる瞬間が限られてきたことは紛れもない事実であります。そのような「今」だからこそ、私たちは歴史に能動的に向き合い、学ぶ重要性を再認識しなければなりません。
流行を知るとは、時代の流れによる変化を適切に捉えるということです。これを知らずして革新を進めることはできません。では、どのようにして流行を知るのでしょうか。私はその答えの一つも歴史にあると考えます。単年度制という青年会議所の制度のもと、その一年
一年で時代に求められる変革に取り組むことが革新であり、科野青年会議所が革新を続けてきた 56 年間という歴史を知ることこそ、流行を知るための一つの解であると考えられます。

もう一つの解として、自らを見つめ直すことによる自己革新もあげられます。ただ惰性によって動いてはいないか。他者へ改善を促す前に自らはできているのか。人を改めさせよう、変えようとする前に、まず自らを改め、自分が変わるために、今一度自己を見つめ直すことで最も適切な流行が見えてくるはずです。
諸先輩方が単年度の中で取り組んでこられた革新が、今日までの伝統としてつながれています。それはすなわち、私たちが本年度に取り組む革新も、来年度以降には新たな伝統としてつながっていくことを意味します。この不連続の連続という青年会議所の組織運営は、正しく「不易流行」を体現した取り組みであると私は考えます。不易による伝統と、流行による革新の双方によって紡がれた強固な糸こそが、私たちの持つ最も大切で力強い「手法」であります。この強固な糸を紡ぐために、歴史を学ぶことをはじめ、「今」私たちが学ぶべ
きものを追求し続けることこそ、本年度の一つの使命であると位置づけています。

【ともに織りなす新たな未来へ】
伝統と革新を紡ぐことで出来た糸は、布の骨格となる強固な経糸(たていと)であり、そこ に通される緯糸(よこいと)もまた、布を織りなすための大切な「手法」となります。私は、この緯糸は地域や同志の皆様の力であると考えます。

私たちの住む地域には、様々な方法や組織で地域をより良くしようと活動されている方々がいらっしゃいます。一方で、地域のために何かしたいと思いながらも、どうすれば良いのか分からない、少人数では形にできないと悩む方々もおられます。こうした顕在的な活 動者と、潜在的な意志を持つ方々の双方に寄り添い、それぞれに適した連携の形を模索することで、より効果的な緯糸となりえるのではないでしょうか。
また、諸先輩方のお力も地域の力の一つであると考えます。勿論、現役を卒業された皆様にただ甘えて頼るのではなく、より良いものを築くための能動的な活動においてお力添えを賜ることは、先述した歴史を学ぶうえでも必要な要素であると捉えています。
同志という横のつながりは非常に心強いものです。私たちには他の地域において同じ青年会議所という団体で活動する同志がいます。同じ時代を生きる同世代の仲間が、各地にて築かれた伝統のもとに運動を展開する姿は、必ず私たちにも相通ずるものがあり、この同志との連携をより深めていくことも、緯糸を紡ぐ一歩となります。
経糸と緯糸という「手法」によって織りなされた布こそが、私たちの目指す「新たな未来」、すなわち「目的」であります。私たちは、伝統と革新で紡がれた経糸と、地域や同志の皆様との連携によって紡がれた緯糸という「手法」を学び磨き上げることで、より上質な「新たな未来」という「目的」の布を、多くの皆様とともに織りなしてまいります。

【持続可能な組織であるために】
どれほど諸先輩方の歴史を学び、地域や同志の皆様との連携を深めたとしても、肝心の私たちが持続可能な組織として自立していなければ、何も織りなすことはできません。
会員拡大は永遠の課題であり、人口減少や価値観の多様化をはじめとする時代の変化による組織の弱体化は、青年会議所に限らず、あらゆる組織に共通する課題です。この課題へ の取り組みを怠ることは、組織の消滅を意味します。会員拡大という課題をメンバー全員で共有する「全員拡大」の推進が重要です。
そのためにも、すべての事業と活動において会員拡大を念頭に置くこと、また、いずれの 事業においても対外という対象者を定めることで、今の候補者、そして未来の候補者へと、 私たちの情熱を伝播できるよう取り組んでまいります。
LOM という一つの組織の運営を考えることは、持続可能な組織であるために、そして私たちが青年経済人として成長していくためにも欠かすことのできない要素です。
一例として資金面に目を向ければ、物価高騰により支出が増加する一方で、会員数の減少などに起因して収入が厳しいとなれば、事業に充てられる割合は当然ながら減少していきます。

これまで十分に焦点が当てられてこなかった運営面にも、メンバー一人ひとりが自分事として捉え、常に主体的に考えていくことが必要です。
広報活動もまた、重要なツールのひとつです。どれほど素晴らしい事業を展開しても、広報によってその情報が届かなければ、効果が薄れてしまうのは言うまでもありません。しかし、その当たり前をどこまで意識できているでしょうか。様々なツールを駆使することに加え、広く伝えようという意識をより多くのメンバーが共有できるよう図ることも、広報の成果につながる重要な要素です。
前例踏襲ではなく、継続すべき大切なものを見極めながら、新たな工夫を取り入れていく。

不易流行の運営と広報活動に皆で取り組むことが求められます。
このように、会員拡大と組織運営のいずれにおいても、皆で取り組むことが肝要であります。それぞれに得手不得手がある中で、何か少しでも、わずかでも自分にできることを意識して行動できれば、持続可能な組織への確かな一歩となるはずです。

【おわりに】
「夢を実現できる千曲市を目指して」
2024 年の千曲市議会議員選挙で掲げたスローガンは、人口減少による人手不足や物価高騰など、不安定な社会情勢で不安や諦めが渦巻く今だからこそ、一人ひとりが将来に向けありたいと思える姿、すなわち「夢」を抱ける地域づくりが必要と考え、誰もが夢の実現に向けて挑戦できる地域を目指し、走り続けようという思いを込めました。
入会以来、メンバーの皆様の支えがあるからこそ、今でも青年会議所活動を走り続けることができています。また、本年度には理事長という重責ある職を私に託してくださったことに、心より感謝申し上げます。そのようなメンバーの皆様に対して、私が理事長という立場で果たすべきことは、まさにこのスローガンの通り、一人ひとりが「夢」を抱ける一年としていくために走り続けることだと考えます。そして、メンバーの皆様が夢の実現を目指して走り続けることができれば、その熱は地域にも伝播し、不安や諦めが渦巻く未来ではなく、夢溢れる明るい新たな未来が切り拓かれていくと確信しています。
伝統と革新を紡ぎ、夢溢れる新たな未来をともに織りなすため、私自身、能う限りの努力をしてまいります。
最後に、これまで申し上げました通り、諸先輩方をはじめ、地域や同志、関係各位の皆様
には、多くのお力添えを賜る一年になることと存じます。何卒、深甚なるご理解とご支援を
賜りますようお願い申し上げ、所信と代えさせていただきます。

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